2014年7月8日火曜日

督脈-流注

 督脈の流注(順行)についての要点は、以下の通り。


  1. 体内においては「胞中」より発生する。

     「」は女子胞(子宮)ではなく膀胱と考えるのが自然であり、楊上善もそう注釈していることなどが【こちらの文献】で語られております。

     もっとも、子宮や膀胱と言っても、それらと現代人にとっての子宮や膀胱とは概念が異なりますので、督脈が胞中より起こるとされていることの意図をくもうと思えば、ここでは東洋医学における膀胱の意味付け、また、それ以上に、膀胱の主である腎の意味付けを東洋医学概論などで学ぶことが必要です。そうすれば、「胞」が膀胱であっても──むしろ、膀胱であるからこそ──督脈は女子胞にも影響を与え得ること、加えて、男性の生殖器にも影響を与え得るのが当然であることが見えてくると思います。


  2. 体表においては「会陰部」より出現する。

     外生殖器と肛門との間を意味する「会陰」は「任脈」の経穴名でもありますが、督脈・任脈ともに、胞中で発生した後は、体内を下って会陰より表出すると言われております。

     会陰から体表へ出た後は、長強から齦交へ、各経穴を結んだルートを上っていきます。


  3. に入る。

     髄膜炎やてんかん発作などでは、背筋を反らせてケイレンする(後弓反張、角弓反張)と共に意識障害を起こしたりすることもある訳ですが、こういった現象も督脈の病として認識されていたであろうことが推察されます。

     学校の教科書では「外後頭隆起直下[風府]に至り脳に入る」とありますが、風府の次の経穴名は文字通り「脳戸」です。督脉は、風府の位置を越えた後、枝分かれして、体表を行く流れは脳戸から次の経穴へと順に行き、体内を行く流れは脳戸あたりから脳へと入っていくと覚えて良いでしょう。


 『新版 経絡経穴概論(第1版4刷)』(医道の日本社)に準拠。

2014年7月7日月曜日

経絡について

生体
 ├─ 臓腑
 │  ├─ 臓
 │  └─ 腑
 └─ 経絡
    ├─ 経脈
    │  ├─ 十二正経十二経脈) → 十二経別など
    │  └─ 奇経八脈
    └─ 絡脈
       ├─ 十五絡
       └─ 孫絡(≒浮絡)

 はり師・きゅう師の養成校において、経絡に関して目にするのは、十二正経十二経脈)・奇経八脈十五絡といったところでしょうか。
 「陰陽」という東洋に伝統的な世界観で用語を分類・整理していけば、経絡は、臓腑に対応した概念となります。


  • 臓腑
     生体の中枢に位置。
     生命エネルギーとそれを支える物質の生産拠点として働く。
     
  • 経絡
     生体の中枢から末梢へと分布。
     生命エネルギーとそれを支える物質の流通網として働く。
     
    • 経脈
       網目としての経絡の縦糸
       人体の上下を縦断し、要所では内外(深浅)を貫通する。
       
      • 十二正経十二経脈
         臓腑と体表とをつなぐ経脈(十二経別・十二経筋・十二皮部を支配下に置く)。
         
      • 奇経八脈
         正経同士をつなぐ経脈。
         
    • 絡脈
       網目としての経絡の横糸
       経脈の隙間を横断し、全身をくまなく網羅する。
       
      • 十五絡
         経脈から分かれ出て、別の経脈などと大きな流れを形成していく絡脈。
         
      • 孫絡
         十五絡から分かれ出て、細く小さくなって流れを終えていく絡脈(浮絡は、皮膚表面における孫絡)。


【参考文献】神戸中医学研究会編著:基礎中医学.燎原,2010.

2014年7月1日火曜日

「ある浪人生へ。」 (7/1にわ日記)

お久しぶりです。
今日は7月1日。前回の投稿から約1か月が経ってしましました。
解剖学と生理学の解答解説が完了し、さて病理学もやろうか…でももう新しい過去問出るしなぁ~。と考えていたわけです。

今回は、私の日記を書こうかな。と思います。
今年の春からあるきっかけで、鍼灸学生の浪人生の指導をすることになりました。
彼はかれこれ紆余曲折、今年で鍼灸学生6年生です。(鍼灸専門学校は3年制です。)
普通なら3年で卒業・国試受験・鍼灸師免許が取れるのに、6年生…。
彼は鍼灸学校は卒業したのですが、国試はまだ受験していない状態。確かに、今の状態で受験しても受験料がもったいないかな~という感じです。

なので、私は最初の顔合わせの時に「本当にやる気はありますか?」
と彼に問いました。すると彼は
「やる気はあります。免許取りたいんです。」
と言いました。
今もたまに「鍼灸師になりたいの?」と意地悪に聞いてみる時があるのですが(笑)、その時も「鍼灸師にならないと意味がないじゃないですか!」と半ばイラッとした顔で私に言います。彼の鍼灸師免許を取りたい気持ちは本気です。ただ、今まで勉強のモチベーションや周りの環境、人間関係などがあまりいい状態じゃなかった。ということだと思います。いわば、人生の難を若いときに全部終わらせてやろうという感じでしょうか。彼は歳をとるにつれて楽しくなるのでしょうね(笑)。

今現在は、たまに体調不良で授業をすっぽかしますが、(身体あっての勉強ですので許します。)やればできる人です。秋までどれだけ成長するか楽しみにしています。夏までに基礎教科は完了しそうですし、苦手科目の東洋医学も頑張っています。経穴はいつの間にかスラスラ暗唱できていました。

彼を見ていて思うのは、学校では環境がmatchしなかっただけなんだろうな。ということです。やればできるけど、一人じゃやる気が続かないし、どうやってやればいいか分からない。けど、鍼灸師になりたい。

私は彼に鍼灸師になってもらいたい。紆余曲折あるからこそ人間味がある鍼灸師になってもらいたい。この1年、彼の踏ん張り時を全力でサポートしていきます。
piroshi頑張るぞ!!